松浦知也 アーティスト・ステートメント

(2019年1月)

松浦 知也(福岡、日本)はSoundMaker-音を作るために音の記述と生成のシステム自体を作る音楽家・サウンドアーティストである。

その発表形態は音楽からサウンドインスタレーション、電子楽器楽器の制作に渡る。

松浦の興味は音そのものではなく音を記述し生成するシステムにある。ツールとしてプログラミングを信号処理から作曲まで広い目的で用いる一方、アナログ回路やプリミティブなデジタル回路などのハードウェアも扱うのは、作品の問いがときに普段プログラミングで扱っているデジタルの音のフォーマットそれ自体への疑問を呈すものだからだ。

またフィードバックシステムを作品の中心的な構造として頻繁に使うのは、同じような構造からでも安定と不安定両方の状態を生み出すからである。

作品の方法論として、Paul DeMarinisに代表されるメディア考古学的手法、既に使われなくなったメディアに焦点を当てリサーチをした上で作品制作の足がかりにする手法を取る。音響遅延線メモリーや非リアルな物理モデルWhirlwindなどの廃れた技術を、”なぜそれが使われなくなったのか?“、”現在のコンテクストで再発明するとどうなるか?“といった視点で再考する。

これらの活動は技術的、社会的両方の関心が元になっている。 道具を作るということは、一種のメタクリエーションであり表現の歴史自体に踏み込んでアクセスできるという魅力がある。一方でそこにはツールの造り手がそのユーザーを多かれ少なかれ支配するという政治的側面があり、実際音楽制作の環境は様々な音楽制作ソフトウェアや、あるいは配信メディア・プラットフォームに本来あり得る選択肢が無意識のまま制限されていると松浦は考えている。

松浦は規格化、固定化されたフォーマット―例えば楽譜、コンピュータ・アーキテクチャ、音のデータフォーマット―の再考、そして抵抗に焦点を当て、異なる可能性を提示し続けるために活動する。

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