今年の9月〜11月の3ヶ月の間、ニューヨークでSchool for Poetic Computationという学校に参加してきます。
School for Poetic Computationというのは、Openframeworksの開発を立ち上げたZachary Liebermanをはじめ、アーティストたちが自主的に運営している学校です。
日本語での紹介だとboundbawのこの記事とか
ニューヨークにある“詩的プログラマー”の楽園、SFPC
第一回目に参加した清水基さんによるブログや、
https://www.cbc-net.com/blog/motoishmz/category/sfpc/
同じく卒業生で映像作家の橋本麦さんがつくったWikipediaの記事など
https://ja.wikipedia.org/wiki/School_for_Poetic_Computation
があります。
自分はSFPCで音楽/音響プログラミング言語自体をデザインしてみたいなと思っています。どうせ行ったらまた変わってくるとは思いますが・・・。
プログラミング言語って音楽用のものは少し特殊な状況だと思っています。なぜなら昔から楽譜というものが存在していて、楽譜とはある意味音楽のソースコードとも考えられるわけで、指揮者や演奏者が音楽を出力するコンパイラになっていると捉えることができます。昨今流行りのライブコーディングとかはコンパイラ/インタプリタが楽器の役割になっている。
それならば例えば、図形楽譜に対してたくさんの演奏解釈がある、という極端な話にはいかないにしても、“一つのコード/楽譜に対して少しずつアウトプットが異なる”、というのは音楽プログラミングにおいてもっと考えてもいいのではないか、ということを考えています。要するに言語仕様とコンパイラの仕様をある程度切り離して、多対多の関係性が作れるのではないか?という話です。
あるいはさらに歌における歌詞(まさにPoetryですね)についても含めた言語とか作れたらややこしくて面白いのではないでしょうか?
大局的な話をすると自分が最近取り組んでいた物理モデリングシンセを物理化する作品とか、デジタルなものが計算スピードアップのおかげでどんどんアナログに近づくみたいな最近のよくある議論とはちょっと違う方向で、そもそもアナログ/デジタルの分け方が変わるんじゃないだろうかと思ってます。アナログに近づくって文脈でのデジタルはだいたいcomputationalに置き換えられて、自分の興味のあるところはdescribed、記述して情報として固定化することというそこなんじゃないかと思っています。
そういう文脈から、音楽の記録方法みたいなものの変化として単なる録音ではなくて楽譜の派生型=プログラミング言語などがどんどん発展するという可能性を探りたい、、みたいな事を考えています。
それと、前のブログでも書いた気がしますが自分は作品を作ったりそれを支えたりする人のコミュニティがどうあるべきかについてわりと前から、特に最近またよく考えています。
最近またteamLabの内覧会の影響でネット上でひと揉めあったりしましたが、(メディアアートとはなんぞや的議論は一旦置いておき)自分がこれまでteamLabももちろんYCAM Interlabや芸大、今いる芸工の大学院などいろんな環境に入ってみて、完全コマーシャルでもないインデペンデントなコミュニティ運営をしつつ活動をきちんと周縁に広げていくはどうしたらうまくいくんかな、というところに関心が出てきています。SFPCの近所でいうとEYEBEAMとかも。日本でいうとゲンロンとか、あと美学校みたいなとこもでしょうか。
今の所次の進路としては博士課程に進もうと思ってはいるものの、その辺り見た結果ギリギリでやっぱ変えるわ、ということがまだありそうだなあと自分でも思っていたりします。
お願い/提案
(追記:お話いただけたので一応募集締めますがどうしてもという方がもしいればお気軽に連絡ください。)
ところで自分はこのSFPCに行くのをトビタテ!留学JAPANという官民共同の留学プログラムに採用されており、月16万の生活費+渡航費含めた準備金として25万が支給される予定です。
支出としては、実際のフライトは早めに取ればおおよそ15万円ほどの予定です。生活費は知り合いの家に停めてもらったりairbnbなどで安いところを探そうと思っているところです(情報求む)。
それから学費、これが5500ドルです。SFPCは正式な大学ではないので授業料に関してはトビタテからは支給されません。
いまSFPCを手伝うことで学費を半額にする奨学金プログラムのような、work-studyポジションというのにも応募していて、そちらが通れば2250ドル。トータルとして学費半額になったらなんとか自腹で行けるかな、というところです。
ただwork-studyは何分インデペンデントに運営してる学校ですので、人数も限られていて本当に必要な人に支給したいというものなので、僕も自己資金で足りそうなのであればそれに越したことは無いです。
というのもちょうど同じタイミングでSFPC行くNetaさんという方が費用をクラウドファンディングで募っていて見事1日でサクセスしているのを見たのもあり。
https://www.gofundme.com/help-neta-study-programming-in-nyc
いろいろ考えた結果のお願いというか提案なのですが、SFPCでの三ヶ月間の滞在をレポートとしてどこか記事を書かせていただけるメディアの方はいらっしゃいませんでしょうか?
SFPCは上でも挙げたとおりまだまだ日本語の情報も少ないので、どちらにせよ頼まれなくても一人でWeb上に滞在記を書いていこうとは思っているのですが、やはりただのブログとなるとモチベーション的にも忙しさにかまけて続かなくなってしまうかも…と思わなくもない。あと、ライティングスキル的に論文書いてはいるけど校正毎度真っ赤にされていたり、滞在レポート記事など全然書いたこと無いのでそのあたり自分でも不安ではありますが・・・
それでもSFPC、個人的には世界中の(特にテクノロジー関わる)アートシーンでも稀有な存在だとは思うので、知りたい人が情報にたどり着きやすくなるのは良いことなのではないか、と思っています。
ご検討の程よろしくお願いいたします。
(ちなみに、ふつうにクラファンすりゃいいのでは?という話もありますがトビタテの規定上留学支援としてもらえる金額の上限があったりとか、その辺りをいろいろ考えた結果です)