Abstract
本発表では、時間を分割する機能のみを持ったコンピューターとしての回路彫刻作品「Electronic Delay Time Automatic Calculator」について、その詳細を述べる。本作品は電気パルスの遅延フィードバックという、マスタークロックを持たない異なる時間構造の表現を、メディア考古学的視点より考察するものである。コンピューターを用いた音生成の黎明期に存在した、CSIRACやFerranti Mark Ⅰという、PCM形式によらずに音をデジタル的に直接生成する先例を足がかりに、ソフトウェアとハードウェアの不可分性および、時間の定量的な記述に着目し、今日計算機を用いて音を生成することの意味を再考する。