Abstract
『Aphysical Unmodeling Instrument』は、物理モデリング合成に基づくサウンドインスタレーションである。本作では、一般的には実際の楽器構造やその音色の計算機内での模倣に用いられる本音声合成手法を、実空間内にて展開させてい る。Cookらによる仮想の楽器である『Whirlwind』というモデルを取り上げ、紙の筒による共鳴器や空気伝播による遅延などの要素からなるその物理的な再実装を行った。Sanfilippoらのフィードバックを用いた作品の分類とPucketteによるPCM以外のデジタル音声表現に関する言説を取り上げ、今日におけるデジタル音声処理のあり方を議論した。